【映画】B
W杯における戦争と平和と利家とトミーとまつ
〜『鬼が来た!』〜

いやはや、ワールドカップ開幕。世界の国々のみんなが集まって玉遊び。当然僕も毎日テレビにかじりついてこの点取りゲームに仕事そっちのけで一喜一憂。急におなかが痛くなった虚弱児を気遣ったりとかね。平和ですなあ。ピースフル。ビバ!カルチョ。中東では相変わらず銃声が絶えないようですが夜のニュースや朝昼のワイドショーもそんな関係ない国のことはそっちのけでサッカー一色。イスラエルもパキスタンも出てないから?まあいいや。とにかく平和です。

そんな完全平和ボケ状態の僕にこんな映画を見せやがって!って僕が勝手に観に行ったんですが、2000年のカンヌのグランプリを獲った中国の戦争映画でございます。ブラックユーモアたっぷりの戦争コメディ。中国軍の捕虜となった香川照之のたがが外れたような豪快な演技には目を見張り、主人公の中国人、チアン・ウェンをはじめとする中国の村人たちの心暖まる役どころにはこれが戦争映画であることを忘れさせます。しかしラスト40分ほどでしょうか?恐ろしい映像を目の当たりにします。その昔日本軍は中国を侵略し、非人道的行為を繰り返しました。その行為が、日本兵の屈折した心理状態とともに描かれます。興味深いのは、この映画は中国人が撮った映画なのですが、反日感情丸出しの右寄り映画ではありません。あくまでリアルさを追及し、人間そのもののおろかさを描いた作品です。だからこそ観るものの心にストレートに響くのです。

非常に感動したもんで、5年ぶりくらいにパンフレットなんぞを買ってしまいました。皆さんもビデオでもいいので是非観てみてください。それにしても香川照之って人はいい役者です。いま「利家とまつ」とかいうNHKの大河ドラマで豊臣秀吉役をやっつけ仕事みえみえの演技でやってらっしゃいますが、この映画ではまさにプロです。それにしてもあの「利家とまつ」ってのはひどいですね。一度だけ観たけど。たんたんと物語が進むだけの散文ドラマ。中学生でも作れます。ところで松嶋奈々子って女優はくだらないドラマが非常によく似合います。

「鬼が来た!」この映画を見終わって、ワールドカップ「カメルーン対アイルランド」を観るために急いで家に帰りました。何とか間にあいキックオフ。サッカーってスポーツは、中性の時代にイギリスの兵士が人間の頭蓋骨を蹴って遊んだことから始まった、なんて話をどっかで聞いたことがあるけど、エムボマがゴールに蹴りこむサッカーボールは、どうしても人間の頭に見えてしょうがありませんでした。そんな錯覚を起こさせる、この映画のラストシーン。衝撃です。観ればわかります。

●DATA●

監督:チアン・ウェン

脚本:ユウ・フォン・ウェイ

キャスト:
チアン・ウェン
香川照之
澤田謙也 他

『鬼が来た!』ホームページ
http://www.gaga.ne.jp/onigakita/

 
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